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執筆者の写真山崎泰央

「稼げる人になる」ための初年次教育とは その1

更新日:2020年1月11日

前回記事で、東北アクティブラーニングフォーラムを始めるきっかけは「石巻専修大学経営学部の初年次教育」だったと書きました。今回はそのカリキュラムの概要についてです。


いちおう、大学がスポンサーになっている手前、書いておかないとまずいですからね。


経営学部が目指す人物像は 「30代になったとき、常に目標を更新しつつ、生涯にわたって学び続け、自分らしく社会責任を果たして働ける人」です。いちおうDP(ディプロマポリシー)をこうやって翻訳しています。しかし、それでもまだわかりにくいのでメッセージとして一言にまとめました。それは、


「稼げる人になる」です。


初年次教育では、大学生活のスタートなるので「生涯にわたって学び続ける基礎力をつける」ことを目標としています。もちろん、大学4年間で学習する能力をつけることはいうまでもありません。

ここで、石巻専修大学へ入学してくる学生について簡単な解説。

この大学は偏差値でランクづけするなら、宮城県でも最下位クラスです。約 6 割が AO 入試や各種推薦入試で入学します。一般入試で入ってくる学生の学力については、4割程度の得点でも入学を許可しています。経営学部では、震災後、入学者の3割がスポーツ推薦ということもありました。


正直なところ、学習の習慣がないのです。


ところが「学習する」という行為は生涯必要となります。稼げる人になるためには、学び続けなくてはなりません。学び続けるためには、常に目標を更新しなくてはなりません。


そこで、初年次教育では、(1)現在と将来のギャップを知ること、(2)「学び方」を学ぶことを目標にした講座をつくりました。


一つ目の目標、「現在と将来のギャップを知ること」に対応して「ビジネス演習入門」という講座を設置しました。

この講座ではFuture Skills Projectを東北地方で初めて導入し、前期15回で2つの企業の課題解決をてがけます。これまでのように専門知識を得てから実践体験をするのではなく、1年次前期でいきなり実践的な課題解決を手がけるのです。


これを導入しようと考えたのは、私自身が10年以上前から、企業から提供される課題の解決を授業にとりいれていたからです。製品開発ひとつ取っても企業の目線と、学生の目線は全く違います。そうした、視点や思考のギャップを感じることによって、学習への態度が変わることを経験的に知っていたのです。


なんとか、そういったプログラムを初年次教育で実現できないものかと、考えていたところFuture Skills Project(FSP)に出会ったのです。FSPは私のような個人の経験則ではなく、エビデンスを元にして設計されているので、意外とすんなり導入できました。


このような企業の問題解決という実践経験をすることによって、社会人と現在の自分とのギャップを認識することができます。そうすることで、大学4年間で解決すべき自分の課題を明らかにすることができるのです。


ただプログラムが決まっているとはいえ、運用となると企業に協力を求めたり、学校の実情に合わせてチューニングしたりと、簡単ではありませんでした。が、その話はまたの機会に。


そして、二つ目の目標の「『学び方』を学ぶ」ですが、これは次回にお話しします。



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