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執筆者の写真山崎泰央

学び方を学ぶコース・デザイン

石巻専修大学の「フレッシュマンセミナー」は、学び方を学ぶことを目的としています。

このコースをデザインするときは、付せんに一回ごとの授業内容を書いて、壁に貼って何度も並べ直したものです。


中核になるのは4つのメソッド

  • マインドマップ(ノート)

  • リードフォーアクション読書法(読書)

  • フューチャーマッピング(行動計画、問題解決)

  • エンパシーライティング(文章)

これを前期後期に2つずつ学ぶことにしました。


どれをどの順番に学ぶかは3年間試行錯誤を続けています。

なにしろ、大学の授業は1年に1回限りですから、その年に上手くいかなくてもやり直しはできません。


そこで役に立ったのは、授業後の振り返りです。


担当教員6人と授業をアシスタントしてくれる学生(SA)とで、1時間くらい授業での学生の様子を共有します。


2017年度は5クラス、2018年度は6クラスあって、2018年度までは、1クラスを1人の教員が担当していました。

そのため、お互いの学生の様子がわからないので、毎授業の終了後に集まって、情報を共有するようにしました。

そこでわかったのは、それぞれの教室や先生によって教え方が違ってくるので、学生の様子も違っているということでした。


それでも、学生たちがどこで引っかかっているのか、学習が滞っているのか、共通する課題が見えてきます。その結果、現在の学ぶ順番が決まりました。


マインドマップ(ノート)は学習の基本となるので、これは前期の最初に学ぶことは動かせません。なぜノート法が必要か。

簡単にいうと、私たちのようなレベルの大学へ来る学生は、学習習慣がなくノートを取る方法を知らないからです。


2番目には何を学ぶのか、これは1年目の反省で変更しています。

1年目にはフューチャーマッピング(行動計画、問題解決)を学びました。

しかし、このメソッドは抽象度が高いことと、手順が多いこともあって、せっかく学んでも上手く使えないのです。

また、後期の最後にフューチャーマッピングを使って、将来計画を考えるという授業を設定していたのですが、その頃にはすっかり忘れていて、イチから教えなくてはいけない状態でした。

そこで、後期にフューチャーマッピングを使う機会が多いことから順番を変えました。


すると、2番目に何を持ってくるかです。

ここで学生の様子を見ていると、一般的に本を読む習慣がないので、リードフォーアクション読書法(読書)を前期で実施することになったのです。

これは、前期のうちに読書への抵抗を減らしていこうという考えです。リードフォーアクション読書法は、目的を持って本を読めば、最初から最後まで全部読む必要がないという方法なので、読書習慣の無い学生でも受け入れやすかったのです。


こうして前期が決まったので、残ったフューチャーマッピングとエンパシーライティング(文章)は、後期となりました。


さて、ここでどちらを先にするかです。


これも検討した結果、フューチャーマッピングが先となりました。夏休みが終わって大学にも慣れてきたので、ここで大学生活を考える機会をつくろうということでした。


夏休み明けからしばらくは、学生たちもこのままの自分で良いのか、大学の勉強について行けるのか、といった自問自答を繰り返します。そこで、学期の始めに2年生になった自分や、3年半後の自分の未来を考えたうえで、実行計画を考える機会をつくることにしたのです。先が見えれば、これからの不安も楽になります。


最後に、エンパシーライティングという文章作成のメソッドを学ぶことになりました。これも別に消去法でもなくて、ノートを取って、本を読んで、抽象的な未来を考えて、という力が付かないことには文章も上手く書けません。文章は抽象を具象の文字で表現することです。


このような、メソッドをどの順番で学ぶかということも、授業後の振り返り会で話し合ったからこそ、ダイナミックに動かすことができたのです。


最初は私1人が考えていましたが、それをどのように変えるかは授業に関係している教員とSAの意見によって作っていったのです。1人ではできないことでした。


振り返り会のやり方や様子については、またの機会にお話しします。




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