もやもやを作るには、Read For Action読書法を使います。
ちなみに、私の大学では1年生の「フレッシュマンセミナー」という授業で、全員がこの読書法を学んでいます。
Read For Action読書法には図のように5つのスッテプがありますが、授業に合わせて少しアレンジしました。
まず4~5人のグループに分かれます。
ひとりひとりに、私が持ってきた本の中から興味のあるものを適当に選んでもらいます。
そして、今日の読書のテーマを伝えます。
テーマはあまり抽象的すぎると、学生の思考の視点が大きくズレてしまいます。
以前、「企業家とは何か」といったテーマを出したら「企業家とは生き物である」なんて斜め上の答をつくったチームがありました。
具体化しなくてはいけない問いを、抽象化してしまうといった論理的な過ちを平気で侵すことにガッカリしたことがあります。
なにはともあれ、失敗は私の責任。
「問いは小さく」と学習をした次第です。
今回の問いは「もしアントレプレナーになるとしたら、どのような能力が必要か」です。
学生たちは手に取った本を、2分間でざっと目を通してから、読んだ内容について、
ひとり1分間で話します。
ここでは、本の内容を正確に理解することを意図してはいません。
むしろ、欠けていることを想像しながら話すことで、その本に対する興味を起こすことが目的です。
グループ全員が話し終わったら、持っている本を右隣の人に渡します。
渡された人は、その本の内容について1分間で質問を考えます。
質問は付せんに書いて、本の中表紙に貼り付けます。
それをまた、右隣の人に渡します。
同じく1分間で考え、質問を付せんに書いてを貼ります。
そして、また右隣の人に本を渡します。
これを自分の本が手元に戻ってくるまで続けます。
手元に戻ってきた本には、質問の付せんが何枚も貼られています。
こんどは、その他者からの質問の答えを探します。
8分程度探したら発表の時間です。
ここで、ひとり1分程度で発表です。
このように、他者の質問に答えることによって、
違った視点から本を読むことができます。
このような読書法を「ぐるぐる読書」といいます。
ここで、最初の問いに戻ります。
「もしアントレプレナーになるとしたら、どのような能力が必要か」について、ここまでの読書で得た知識を使って、ワークシートに10こ書き出します。
自分なりの解釈で必要な能力は何か考えて書き出すのです。
最終的にグループでアントレプレナーになるために必要な能力と、能力の関連性について考えてもらいます。
学生の頭の中では「必要な能力」としてラベリングされた言葉はあっても、どれがどのような作用をするのか、どのように関連をしているのかはわからない状態です。
でも、これでいいのです。
答えのない問いなので、当然の結果です。
しかし、一度、考えてしまったからには、この問いはこの授業が続く間ずっとつきまといます。
学生たちは、今回の読書を通じて「知らないことを知らない」状態から「知らないことを知っている」状態へと変わったのです。
「知らないこと」を知ったということは、脳に空白ができたということです。
それが埋まるまでは、ずーーともやもやとすることでしょう。
もやもやで興味は深まっていくのです。
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